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脳の生理に関するシンポジウム 脳の外科を中心に
大腦皮質分野4,分野6剔除の運動並に自律神経機能に及ぼす影響について
Influences of Removal of Area 4 or Area 6 in the Cerebral Cortex upon the Function of Motor and Autonomic Nervous system
陣内 傳之助
1
Dennosuke Jinnai
1
1岡山大学陣内外科
1Department of Surgery (Jinnai) University of Okayama School of Medicine
pp.49-63
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901568
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はしがき
人において大脳皮質各部の機能を知るためには,外科手術でそれらの部分を剔除した場合にいかなる機能の脱落乃至変化が起るかということを詳細に観察するよりほかに方法がない。もちろん多くの繊維結合を有している複雑な脳髄においては剔除後に起つた機能の脱落乃至変化を以て直にその剔除部位のみの機能に帰することはできぬかもしれないが,剔除による脳浮腫などの影響が完全に消退した数カ月後における変化の状態はおおむね剔除部位の有する機能を示していると考えてもよいのではないかと考える。かかる意味でこのたび第3回脳生班のシムポジアムで生理学方面の方々よりわれわれ外科側の者に対してこのようなテーマの提案があつたわけであろう。
私は過去10年ばかりの間,癲癇痙攣の治療を目的として,皮質運動領(分野4)及び前運動領(分野6)の剔除を行つてきたので,ここでは癲癇に対する治療成績ということから全くはなれて,大脳皮質分野4,分野6を剔除した場合にいかなる変化がわれわれの身体に現れてくるか,そしてそれがどの位経過してどの程度まで恢復しうるかということを,私の経験に基いてのべてみたいと思う。
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