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展望 生化
神経化学(Elliot,Page,Quastel)書評—[その1]
Book review"Neurochemistry" edited by EIIiot, Page, Quastel
吉川 政己
1
Masami Yoshikawa
1
1東大沖中内科
1Dep. of Internal Medicine, Facutty of Medicine, Univ.of Tokyo
pp.149-152
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901511
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最近C.C.Thomas社より発行された神経化学(Neurochemistry)*は此の種の本として最もまとまつた書物といえよう。編集者がElliot,Page及びQuastelの三人であることからも,此の書物が基礎医学的色彩の強いことは否めないが,神経化学の現在の段階が,かかる立場の人々に最も華々しい研究分野を提供しているように思われる。従つて神経病学の臨床家が此の書物から直接の臨床的知見を得ようとするのは困難である。然し神経病学を多小とも生化学的な立場から理解しようとする人々は,忽ち基礎的知見に関する知識の不足に困難を感じ,基礎的研究に眼を向けると,余りに多数の原著の集積に圧倒されて,何が臨床家にとつて最も大切であるかを見出す前に,途方に暮れてしまいそうな気になる。このような人々にとつて本書は最も貴重なものとなり得るように思われる。
1937年に発行された"脳の化学(Chemistry ofthe brain)"の著者であるI.H.Pageが第1章でThudichumについて述べ,19世紀末より20世紀初頭にかけての彼の仕事を紹介している。同じ頃より発達した解剖学は多数のすぐれた研究者により発展して,神経病学の主流をなしたが,Thudichumの仕事に続く重要な神経化学的研究はやつと1921年のO.Loewiの迷走神経素の発見で再び始つた。
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