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脊椎動物の中枢神経系は,単層円柱上皮の外胚葉上皮が脊索の誘導を受けて偽重層上皮の神経上皮となり,神経管を形作る。神経上皮細胞は,脳を構成する細胞のほとんどを生み出す神経幹細胞である。これまで神経上皮細胞は,最初に放射状グリアを生み出し,続いて生じる神経細胞を軟膜直下まで導く足場を提供すると信じられてきた。しかし最近の研究で,放射状グリアは神経幹細胞それ自身であり,細胞分裂で大脳皮質の神経細胞を生み出すことが明らかになってきた。同じ役割を担う神経上皮細胞と放射状グリアの特徴を比較してみると,同様の形態をし同様の物質を含むことがわかる。脳室帯にある放射状グリアは細胞分裂して,大脳皮質の構成神経細胞を生み出し,神経細胞は分裂の際に受け継いだ放射状線維を頼りに放射方向へ移動する。放射状グリアは他のグリア細胞も生み出す。神経幹細胞としての役割を終えた放射状グリアは,放射状線維を保持しつつ上衣層に長くとどまる。放射状グリアは,中枢神経発生過程を通して上皮細胞としての性質を保持し続けているので,グリアと呼ぶ根拠はますます希薄となった。
Radial glias have been believed to serve as a scaffold to support and direct radially migrating neurons during the development of the cerebral cortex. However, a recent series of studies on neocortical development showed that these cells behave as multifunctional cells. Those studies have provided strong support for the idea that radial glias function as multipotential progenitor cells that give rise to various cell types, including neurons.
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