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はじめに
脳は1,000億個もの神経細胞からなる巨大なネットワークである。その神経回路網が形成される発生期に,細胞体からは軸索や樹状突起が成長し複雑な分岐をつくる。分岐した軸索は多数の標的細胞とシナプスを介して結合し,一方,樹状突起でも多数の入力線維との間でシナプス結合を形成する。しかし,軸索や樹状突起は単に増加するだけでなく,過剰な分が除去される。絶え間ない付加と除去を繰り返しながら,次第に回路が固まっていくのである。
このネットワークの形成過程において,ミクログリア(microglia)に注目が集まっている。元来,ミクログリアは脳内のマクロファージ(macrophage)として損傷時や病理的な状況下で貪食作用を通じて異物や死細胞の除去に貢献している。このような成体脳における働きに加えて,発生期には余分に産生された神経細胞がアポトーシス(apoptosis)によって取り除かれる際,ミクログリアはやはり貪食細胞として働いている1)。さらに,近年の研究から,神経回路の形成期においてもミクログリアが重要な役割を演じていることが明らかになってきた。本稿では,神経回路の形成過程におけるミクログリアの役割,特にミクログリアのシナプス除去機能と回路成熟機能に焦点を絞り,筆者らの成果を含めて紹介する。
Abstract
Microglia are known to maintain the cellular environment in the brain via their phagocytic activity. Further, recent studies have demonstrated that microglia play an important role in neuronal circuit formation. During neuronal development, new axonal and dendritic processes are formed, but excessive connections are eliminated appropriately; microglia participate in this pruning process. Moreover, evidence shows that microglia contribute to synaptic maturation by secreting various molecules.
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