Japanese
English
特集 頭痛・疼痛
序文
Introduction to headaches and pains.
岩田 誠
1
Makoto IWATA
1
1東京女子医科大学脳神経センター神経内科
1Department of Neurology, Neurological lnstitute, Tokyo Women's Medical University
pp.329-330
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901356
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
本特集『頭痛・痔痛』では,様々な頭痛に関する多面的なトピックスと,治療抵抗性の頑固な痔痛に対する対策について取り上げることにした。
私は,1982年から東京大学神経内科の助教授として卒前教育のカリキュラムを担当することとなったが,その時真っ先に気づいたことの一つは,当時の神経内科の卒前教育のカリキュラムには,“頭痛”の教育が入っていないことであった。東京大学においては,私がまだ学生であった1965年から,神経内科は独立した診療科であり,教育カリキュラムの中でも独立した時間割りを持っていたが,自分自身の学生時代のことを考えてみても,その中で“頭痛”について系統的に教わったことはなかった。しかも,いわゆる慢性機能性頭痛についての教育はゼロであった。ところが,実際に神経内科の医者として外来診療を始めてみると,頭痛を訴える患者のいかに多いことか,そしてその中のいかに多くの患者が,いわゆる慢性機能性頭痛であるかに驚いたのである。そんな中で出会った一人の患者が,私に頭痛の診療の重要性をはっきりと示してくれた。それは,パリでの神経内科の研修を終えて帰国して直後のことだった。その患者は,身体所見については神経学的なものも含めてまったく何も異常がないのに,激しい痛みを大袈裟に訴えていた。毎日欠かさず,夜中の3時になると突然現れる,目をえぐられるような痛みの恐怖感について,その患者は綿々と語った。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.