インタビュー
ある神経学者の発想と足跡を辿る―楢林博太郎先生に聞く(1)
金澤 一郎
1
1東大
pp.512-522
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901264
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金澤 今日は「ある神経学者の発想と足跡を辿る」というテーマで楢林博太郎先生においでいただいて,お話をお伺いすることにいたしました。
神経学の分野では,代謝異常の研究で有名なAustinという方が書いた似たようなタイトルの本がありまして,その中で“serendipity”(「偶然にものを発見する能力」)という言葉を盛んに使っておられたのを記憶していますが,すばらしいお仕事をなさった方々には偶然のようにみえて,それなりの必然性がある状況のつみ重ねからいい仕事が出てくるということを印象深く読んだ覚えがあります。たとえばJames Watsonにしても,どのようにしてDNAの構造を発見したかという話は,後々の若い人たちに大きなインパクトを与えるものだと思います。そういう意味で,楢林先生のオリジナルなお仕事は私たちにとって目標でありますし,いつまでも心に残るお仕事をなさったわけです。ところが,これまでまとめて先生のお話を伺ったことがございませんでした。そこで,何回かに分けて楢林先生の発想の原点,どうしてあのようなお仕事をおやりになられたかという下地のようなものも含めてお伺いできたらと思っています。
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