Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.神経変性疾患に共通する性質
遺伝性神経変性疾患は,疾患ごとに特有の障害部位とその結果として特有の症状(痴呆・運動失調・異常運動・筋力低下など)を示し,多くの疾患に当てはまる統一的な発症機構に関わる概念を導き出すことはできないと考えられてきた。しかし,いろいろな疾患を注意深く観察するといくつかの共通点が存在する。たとえば,1)発症が中年以降に起こり進行性であること,2)障害部位は異なるにせよ病理像として共通に神経細胞の変性と脱落(消失)を示すこと,3)そして優性遺伝形式をとる疾患がきわめて多いことを挙げることができる。さらにいくつかの疾患では,この三つの特徴に加えて,世代を経るごとに症状が重篤になりしかも発症年齢が早くなることが観察され「表現促進現象」と呼ばれていた。このような共通性から遺伝性神経変性疾患は共通する分子機構によって発症する可能性が考えられる1,2)。しかし,優性遺伝病では,疾患を引き起こす遺伝子変異は一つであるはずで,したがって遺伝性神経変性疾患の場合,上記三つ(時に四つ)の性質が一つの遺伝子変異で説明されなければならない。このことの困難さが,多くの疾患を統一的に考えることの妨げになっていた。
To date, 8 inherited neurodegenerative disorders have been identified to be caused by the expansion of CAG triplet repeats encoding for polyglutamines, in the responsible genes. In the neurons of patient brains affected by these disorders, protein aggregates have been identified especially as nuclear inclusions, composed mainly of portions of the responsible gene product containing the expanded polyglutamine region.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.