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はじめに
脊椎動物の中枢神経系の複雑な機能は,基本的にはこれを構成する多様な神経細胞,神経膠細胞群に担われている。これらの多様な細胞群はいずれも個体発生の初期にみられる中枢神経系の原器たる神経管の壁を構成する神経上皮細胞に由来するが,一見均一にみえる神経上皮細胞は細胞分裂を繰り返して比較的短期間に多様な細胞群へと分化してゆくばかりではなく,産生される各群の細胞数,その比率などもきわめて厳密にコントロールされている。
近年,中枢神経系の細胞分化の研究モデルとして,①構造が比較的単純である。②主要細胞群に関してマーカーの整備が進んでいる。③他の中枢神経系から解剖学的に独立して存在しており実験上の取り扱いが比較的容易であるなどの利点を有することより,網膜が広く用いられるようになってきた。
A fundamental question in vertebrate central nervous system (CNS) development is how the great diversity of neurons and glial cells is derived from an apparently homogeneous neuroepithelial cell population in the embryonic neural tube. This paper describes a series of experiments designed to understand this cellular diversification process by using the neural retina, an easily accessible part of the CNS. The development of a specialized neuronal cell, the rod photoreceptor cell (rods), was studied.
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