Japanese
English
特集 細胞分化
細胞分化における細胞―細胞間相互作用―グリアとニューロン
Neuron-Glia Interactions in Development of Central Nervous System
植木 孝俊
1
,
加藤 泰治
1
Takatoshi Ueki
1
,
Taiji Kato
1
1名古屋市立大学医学部分子医学研究所生体制御部門
pp.199-202
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901082
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
グリアとニューロンは,いずれも神経管に由来することが知られていたが,最近,それらがおそらく共通の前駆細胞より分化することを示唆する証拠が多く得られている。グリオブラストとニューロブラストへの分化が決定づけられた未分化なグリアとニューロンは,相互に影響を及ぼしあうことによって脳内の適切な部位に移動し,特異的に機能する。また,成体の脳内のグリアとニューロン間においても,グリアが特定のニューロンに作用する神経栄養因子を産生することにより,あるいはグリアが神経伝達物質のレセプターを発現しシナプスの可塑性に影響を及ぼすことによって,グリアとニューロンが適当に分化すると考えられる。これまでグリア,とりわけアストロサイトが脳内で担う役割に関してはわからない点が多く,その重要性は看過されがちであったが,最近,グリアが各種のサイトカインやレセプターを発現していることが明らかとなり,グリアとニューロンの細胞―細胞間相互作用に着目しつつ神経系の発生を研究することが重要であると考えられるようになった。本節では,それらの知見について概観したい。
Copyright © 1996, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.