Japanese
English
特集 活性酸素・窒素種と神経系
巻頭言
Preface
谷口 直之
1
Naoyuki TANIGUCHI
1
1大阪大学大学院医学系研究科B1生体制御医学生化学
1Department of Biochemistry, Osaka University Medical School
pp.167-168
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901035
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- Abstract 文献概要
咋年は,ご存じのとおり,NOの研究者がストックホルムへの切符を手中にした。Robert Furchgott(SunnyHealth Sci.Center at Broklyne),Louls Ignarro(UCLA),Ferid Murad(Stanford)の3氏である。本特集にあたって,彼らの業績を少し述べることにしよう。Furchgottらは,ウサギの大動脈血管から内皮を剥ぎ取ったり,コラゲナーゼで処理すると,アセチルコリンにより血管の弛緩が起こらなくなることから,血管内皮細胞が血管平滑筋を弛緩させる物質を作ること。この物質は,アセチルコリンやブラジキニンにより放出されることから,この物質を内皮由来血管弛緩因子(EDRF)と名付けた。MuradはこのEDRFとNOガスやnitroso化合物が,グアニル酸シクラーゼを活性化してcGMPを上昇させ,タンパク質のリン酸化を起こすことから,NOあるいは類似のものが,EDRFであることを示唆した。さらにIgnarroはEDRFとNOの薬理学的あるいは生化学的特性が類似していることを明らかにしたものである。彼らは,NOの国際学会やシンポジウムでは必ずといっていいほど出席されるので,日本の研究者にも知人が多い。この度の受賞の対象は,彼らがそれぞれ,NOのEDRFとしての機能を見出したからといってよいであろう。
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