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進行性多巣性白質脳症(PML)の病因ウイルスとして知られるJCウイルス(JCV)は広くヒト集団に蔓延している。大部分のヒトは子供の時にJCVに感染するが,その際とくに目立った症状は現れない。体内に進入したJCVは免疫反応によって完全には除去されず,腎組織に生涯寄生する。成人においては,腎内JCVは顕著に増殖し,仔ウイルスは尿中に排泄される。健常人の腎や尿に存在するJCVは原型調節領域を持つ。一方,PML患者の脳に存在するJCVは,原型調節領域から欠失と重複により作られたPML型調節領域を持つ。PML型調節領域の構造は患者ごとに異なる。われわれは脳脊髄液(CSF)からJCVの調節領域を効率よく増幅するPCR法を確立した。この系は,増幅された調節領域の塩基配列を決定することによって,増幅がコンタミによる可能性を排除できる,という特徴を有する。平成8年秋から10年春までに筆者らのもとへ,PMLが疑われた患者約40名のCSFが送られてきた。それらすべてからJCV DNAの検出を試み,7名(約17%)の患者のCSFからJCVの調節領域が検出された。これらはいずれもユニークなPML型の調節領域であった。
Progressive multifocal leukoencephalopathy (PML) is a fatal demyelinating disease in the central nervous system that affects individuals with decreased immune competence. The causative agent, the human polyomavirus JC virus (JCV), was first isolated from the brain of a patient with PML in 1971. Most individuals are asymptomati-cally infected with JCV during childhood. After primary infection, JCV persists in the renal tissue throughout life.
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