今月の主題 中枢神経系の感染症
スローウイルス感染症
PML
長嶋 淑子
1
Toshiko Nagashlma
1
1東京都立神経病院・神経内科
pp.274-276
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218904
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PML(progressive multifocal leukoencephalopathy:進行性多巣性白質脳症)は免疫能の低下した状態に見られる稀な中枢神経の脱髄性疾患である.文献上は1958年Astromら1)により初めて紹介され,今日まで100例あまりを数え,本邦では高橋らの報告(1965年)2)以来20例の剖検報告がある.本症の大多数に慢性リンパ性白血病,ホジキン病などのリンパ系悪性増殖性疾患,急性または慢性骨髄性白血病,結核,サルコイドーシスなど何らかの基礎疾患を有するとされていたが,まったく健康な個体に発症した例も少なくない.一方,SLEや腎移植後免疫抑制療法を受けたのち発症した例も報告されている.
この疾患の原因はウイルスによる中枢神経系のopportunistic infection(日和見感染)と考えられている.起因ウイルスは本来腫瘍ウイルスであるpapova(papilloma-polyoma-vacuolating)virusesに属する新しい型のヒトウイルスと考えられている.
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