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はじめに
1966年,Lindqvistら10)が前交通動脈(Acom)の動脈瘤破裂後に生ずる健忘症に注目して以来,前脳基底部病変によって生じる健忘症については,主として国外において数多くの報告がなされている。それらの症例の約8割程度のものはAcom動脈瘤破裂によって生じたものであり2-4,7,12,13,18,19),残りの少数のものの中には,前大脳動脈の動脈瘤破裂によるもの4),前頭葉の動静脈奇形の手術によるもの4),前大脳動脈領域の脳梗塞によるもの17),頭部外傷によるもの14),および腫瘍摘出手術によるもの11)が含まれている。これらの報告例における健忘症の臨床像は様々であるが,多くの症例に共通しているのは,前向性健忘のみならず逆向性健忘を呈するものが多いこと,および作話をみることが多いことである。前脳基底部病変による健忘症の大半がAcom動脈瘤破裂によるものであることから,動脈瘤破裂で生じた脳内血腫やくも膜下血腫による前頭葉眼窩面,あるいは内側面の損傷くも膜下出血に伴って生じた動脈攣縮による前大脳動脈領域の脳梗塞そして手術操作によって生じ得る穿通枝領域の梗塞など,様々な障害要因が加わっている症例が多い。
Since the first report by Lindqvist et al in 1966, cases of amnesic syndrome following rupture of the aneurysm of anterior communicating artery have been repeatedly described from the standpoint of clinical neurology and neuropsychology in western countries. In Japan, however, few studies have been done with regard to the amnesic syndrome of this type.
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