Japanese
English
研究と報告
機能性健忘―純粋前向性健忘の1例
Functional Amnesia:A case of pure anterograde amnesia
北條 敬
1
,
加川 真弓
1
,
中野 英樹
1
Kei HOJO
1
,
Mayumi KAGAWA
1
,
Hideki NAKANO
1
1青森労災病院神経科
1Department of Neuropsychiatry, Aomori Rosai Hospital
キーワード:
Functional amnesia
,
Pure anterograde amnesia
,
Head trauma
Keyword:
Functional amnesia
,
Pure anterograde amnesia
,
Head trauma
pp.129-137
発行日 2003年2月15日
Published Date 2003/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100634
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抄録
意識障害を伴わない軽い頭部打撲後,持続する重篤な前向性健忘を呈した若年男性例を報告した。神経心理学的検査では,知能レベルが高く,平均以上の短期記憶能力を示したにもかかわらず,重篤な前向性健忘を呈していた。逆向性記憶は正常で,著しい対照を成していた。神経学所見やMRI,SPECTなどの神経放射線学的検査からは脳器質性障害を見いだせず,その病歴や二次性疾病利得などの観点からも,心因性病因を支持する結果は得られなかった。記憶過程における符号化encoding閾値が頭部打撲によって異常に高められた可能性があり,De Renziらに従って「機能性健忘」――心因性健忘と等価ではなく,病因が器質性,心因性のいずれにも該当せず,病変が機能に影響を及ぼすという意味で――と呼び,類似した症例の蓄積を促したいと思う。
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