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はじめに
血管内皮由来弛緩因子(EDRF)として同定された一酸化窒素(NO)を生成するNO合成酵素(NOS)が脳に存在にする5)ことが証明されて以来,多くの研究者が神経系におけるNOの役割の解明に精力的に取り組み,脳の可塑性,神経毒性など様々な現象とNOの関係が明らかにされた6,7)。その結果,NOは新しいタイプのneuronal messengerとして現在認知されつっある。NOが痛み(動物実験では侵害受容という)の伝達に関係するとの論文も最近増加している。末梢に与えられた痛みの情報(侵害受容情報)は脊髄を経て脳へ伝えられるが,この情報伝達経路に対してNOが種々のレベルにおいて影響をおよぼす可能性が示唆されている。脊髄ではNOは痛覚過敏(hyperalgesia)状態の発現あるいは維持に関与することが示唆されており35),NOSの免疫組織化学的研究に関する報告も多い15,32,38,52)。また,脊髄より上位の脳における疼痛制御28)や炎症時の末梢局所での侵害受容25)にもNOが関与することが示唆されている。まだ未解明な点も多い分野であるが,著者らがこれまでに得た脳内のNO系に関する知見を中心に,NOと痛みの関係について現時点で明らかとなっていることを以下にまとめた。
We have reviewed the role of nitric oxide (NO) in pain modulation.
1. Both L-arginine (L-Arg), a source of NO, and NO synthase (NOS) inhibitors, when administered i.c.v., produce antinociception in mice. The former effect is mediated by increased formation of kyotorphin (L-tyrosyl-L-Arg), an endogenous Met-enkephalin releaser, but not by NO formation. The latter effect is mediated by inhibiton of brain NOS and by subsequent decrease in brain NO levels.
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