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はじめに
近年になって注目を集めるようになった病態の一つとして,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome,以下SASと略す)がある。SASとは,睡眠中に限って10秒間以上は持続する呼吸の停止が繰り返して生じる病態をさす名称である12)。SASが注目を浴びるに至った理由としては,一般人口のなかでの有病率がきわめて高いこと5,9,26,37,56),生命余後にかなり大きな影響を及ぼす病態であり18,35),高血圧や狭心症,心筋梗塞などの心・循環系疾患の危険因子risk factorとなること36),その主症状の一つである昼間の眠気と居眠りが交通事故,労働災害,産業事故の原因と密接な関係をもつこと31)などの理由があげられる。Youngら(1993)の報告によると,602人の勤労成人におけるSASの有病率は,男性で24%,女性で9%にものぼる56)。田代(1989)は,本邦の勤労男性5060人を対象とした調査研究の結果,本邦の成人男性のSASの有病率を約3%と推定している51)。
近年になって,65歳以上の高齢者においては,その30%以上のものがSASの診断基準を満たす状態にあることが,多数の研究者によって報告されてきている1,25)。このような高齢者にきわめて高い頻度でみられる無呼吸が果して病的なものであるものか否かについては,まだ明確な結論は下されていない。
Sleep apnea syndrome (SAS) is characterized by repetitive episodes of apnea occurring specifically during sleep. This syndrome consists of heavy snoring, excessive daytime sleepiness, nocturnal insomnia, automatic behavior and other psychiatric symptoms. Sleep apnea is classified into three types, obstructive, central, and mixed apnea. Paradoxical respiratory movements occur during obstructive sleep apnea. No respiratory movements appear during central apnea. Mixed apnea begins with central apnea, however, respiratory movements appear in the later half of the apneic episode.
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