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I.はじめに
神経細胞の発生,分化,成熟,維持,修復といった局面で,いろいろな栄養因子が重要な役割を演じているという証拠が最近の研究を通じて枚挙されている。それらの多くは標的由来であることが多い。よく知られているように,このような栄養因子の代表は神経成長因子(nerve growth factor;NGF)である。Levi-Montaltiniらの一連の研究は,前世紀にほぼ完成の域にあった解剖学的静的神経学に,拡散可能な栄養因子の作用という動的な概念を導入した今世紀の偉大な業績の1つである。
NGFの研究に刺激される形で各種の栄養因子の研究が盛んになってきたが,それらのほとんどは,1970年代の後半から1980年代に集中している。筋由来の神経成長栄養因子の研究は,Hamburgerの1975年の論文1)あたりに源を発しているとみてよいだろう。ニワトリ胚に外来の脚を移植することによって運動ニューロン死の割合が下がることを示した論文2)などを通して,彼は標的由来の栄養因子の存在を示唆した。この仮説をきっかけに,運動ニューロンの生存,分化,成熟に関与する栄養因子の研究が盛んになってきた。
Evidence that many kind of trophic factors play a important role in the stages of proliferation, differentiation, maturation and regeneration of neurons, has been obtained during the last decade. These factors are often derived from the target tissue of a neuron. Since skeletal muscles are the target of motoneurons, it is widely accepted that trophic factors derived from the muscle which are called as motoneuron growth factors (MNGFs), participate in survival, differentiation and maturation of motor-neurons.
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