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近年の分子生物学的アプローチにより,多種多様なポタシウム(K+)チャネルファミリーメンバーのcDNAが単離され,ほぼ出そろった感がある。また,種々のaccessoryサブユニットの結合により,分子機能が修飾を受けることも多数報告された。さらに,MacKinnonらによるX線結晶解析の成果により,K+チャネルの重要な機能素子であるイオン選択性フィルターの構造とイオン透過機構について,本質的な理解が得られた。また,膜電位感知機構,ゲート機構等の動的構造機能連関についても,電子スピン共鳴法,FRET(fluorescence resonance energy transfer)法等の先導的な研究手法の適用により,イメージが描けつつある。この稿では,K+チャネルの機能素子についての最近の研究成果を中心に概説する。
はじめに
イオンチャネルが,イオンの通る「穴」を持つ脂質二重膜に浮かぶ膜蛋白質であることが「概念」に過ぎなかった時代は,それほど遠い昔ではない。ほんの20年ほど前までそうであった。この20年の間に,種々のアプローチによる研究の進展によって,われわれは,上述の「概念」がまぎれもない事実であることを確信することができるようになった。分子的実態の解明に大きな貢献があったのは,パッチクランプ法による単一分子の挙動の解析,cDNAのクローニングとその情報に基づいた構造機能連関研究,そして結晶構造解析であろう。本稿では,K+イオンを選択的に透過させるチャネルの構造と機能について,最近の構造機能連関研究の知見を入れて概説したい。
Functional diversity of K+channels is critical for defining various firing pattern of neuronal cells. cDNA cloning works in these 15 years have elucidated molecular bases of the functional diversity. MacKinnon's research group reported in 1998 high resolution structure of bacterial K+channel KcsA by X-ray crystal analysis, and uncovered the principle of ion selectivity and permeation. Information on the dynamic structural rearrangement has been also presented by applying cutting-edge technology including electron spin resonance method and fluorescent resonance energy transfer method. In this article we summarize recent achievements of this research field focusing on the functional elements of K+channels.
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