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特集 多発性硬化症研究・治療の現状2006
多発性硬化症研究・治療の現状
Progress in reach and treatment of multiple sclerosis.
松本 陽
1
Yoh MATSUMOTO
1
1東京都神経科学総合研究所分子神経病理部門
1Department of Molecular Neuropathology, Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience
pp.492-493
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431100157
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多発性硬化症はわが国では比較的まれな疾患であると言われていた。しかしながら,多発性硬化症の特定疾患医療受給者証交付件数は2004年現在10,756名で,各年次でばらつきがみられるものの,着実に増加している(毎年300名から600名の増加)。このことは,診断精度の向上や死亡数の減少などの要素を差し引いても,新たに多発性硬化症を発症する患者が確実に増えていることを示している。本特集でも触れられるであろうが,多発性硬化症でも通常型に分類される疾患の患者数が増加しており,日本に多くみられる視神経脊髄型はあまり変化がないという。
本特集ではまず,多発性硬化症の疫学と感染症との関わりについて述べ,続いて動物モデルでの最近の知見を紹介する。動物モデルである自己免疫性脳脊髄炎やウイルス性脱髄モデルが,ヒト多発性硬化症の病態解明や治療法の開発に本当に役立っているかという議論は古くからなされてきた。ごく最近,「動物モデルは,特に治療法の開発には役立たない」との論調が目立つ。筆者の分担部分でこれらの主張を詳しく紹介し,その批判に対する筆者の考え方を述べる。
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