特集 緩和ケア実践マニュアル Start Up & Beyond PEACE
Part3 症状別緩和ケアスキルBeyond PEACE
悪性消化管閉塞
川島 夏希
1
,
久永 貴之
1
1筑波メディカルセンター病院緩和医療科
pp.82-88
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200376
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総論
消化管閉塞の疫学と病態生理
消化管閉塞(イレウス)とは、器質的な異常により口腔から肛門にいたる消化管の正常な流れが妨げられることである。悪性腫瘍が原因で発生する消化管閉塞は「悪性消化管閉塞(malignant bowel obstruction;MBO)」と称される1。がん患者においては術後の癒着やヘルニア嵌頓などに伴う良性の消化管閉塞も起こりうるが、本稿では進行がん患者における悪性消化管閉塞に対しての症状緩和のスキルについてまとめる。
消化管閉塞の有病率は、特に婦人科がんと消化器がんで高く、卵巣がん患者では6〜42%、大腸直腸がんなどの消化器がん患者では4〜24%である。腹腔骨盤内以外の原発巣としては、乳がん、肺がん、悪性黒色腫で有病率が高く、3〜15%である2。閉塞部位は、胃流出路が16%、小腸が64%、大腸が20%と報告されている3。生存期間の中央値は125日で、内視鏡的または放射線治療が行なわれた患者は69日、薬物治療は135日、外科的治療は314日と報告されている3。
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