特集 緩和ケア
5.症状マネジメント:悪心・嘔吐,消化管閉塞,食欲不振—がん消化器症状に対する緩和ケア
久永 貴之
1
Takayuki HISANAGA
1
1筑波メディカルセンター病院 緩和医療科
pp.925-933
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900304
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がん患者における消化器症状は,その症状によりQOLを著しく障害する。また,食事ができない,排便ができないという,人間としての尊厳や自律にかかわる部分が奪われることによる苦悩・スピリチュアルペインが生じ,例えば「食べられないからどんどん弱っていく」,「トイレも自分でできなくなってしまった」といった声が聴かれる。症状を最大限緩和して尊厳や自律を取り戻せるように努力することが大切であり,その方略について解説する。しかしながら,元どおり食べられて,排便できる状況に至らないことも多く,「元どおり」を目標にしていると,現実との間にどうしても埋めることのできないギャップが生じることになる。そのような場合には,現実的な食事や排便のゴールについて,患者の苦悩を受け止めながら真摯に話し合っていく姿勢が同時に求められる。
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