特集 恐れず恐れよ!骨転移診療 超実践ガイド
Part2 骨転移は誰が、どう診ればよいのか
各職種の役割と現場を変える積極的なかかわり方
医療ソーシャルワーカーの立場から
池山 晴人
1
1大阪国際がんセンター相談支援センター
pp.422
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200332
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チーム介入前の課題
骨転移の診断や「骨が溶けている」という説明に、原発がん告知を上回る「こころ」への衝撃があったと語る患者と多く接してきた。患者は痛みや麻痺、骨折など骨転移による「からだ」の症状が顕著になると恐怖・不安が更に高まる。また、「暮らし」のあらゆる局面、すなわち日々の動作困難や地域活動への参加制限、就労継続が阻害されるなど複合的な影響を体験するため、心理・社会的支援を提供することは重要である。
医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)が介入する契機は、①各専門職が課題発見しMSWにつなぐ場合、②患者・家族自らが相談をもち込む場合に大別されるが、双方において調整・解決のアウトカムが焦点化され、診療プロセスの「点」にとどまる傾向があった。がん治療と仕事の両立を目指すある患者は、自らMSWに身体障害者手帳や傷病手当金、年金申請を相談し、理学療法士に職場環境に合わせた安全な動作の指導を請い、主治医には仕事中に作業効率の落ちない鎮痛剤への変更を依頼した。しかし、このように適切に各専門職の役割を把握し、「その人らしさ」を維持するためにニーズが表出され、情報収集ができる事例はまれであった。
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