特集2 上手な予測と現場ですぐできる予防策で快適な治療を実現しよう 先回り式抗がん薬副作用対策トリビア
症状別副作用対策
下痢—ラパチニブ投与のタイミングで防ぐ
津田 萌
1
1京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科学
pp.244-247
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200285
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ラパチニブは朝食前に内服し下痢・皮疹を予防
抗HER2薬ラパチニブ(タイケルブ®)は乳がん治療において広く使用されているが、しばしばその副作用が問題となる。下痢・皮疹・肝毒性の頻度が高く、患者のQOLを著しく損なうのみならず、有効な治療の減量や中止を招くことも多い。なかでも下痢は60〜70%の頻度で出現し、Grade 3(Table1)以上の重篤な下痢になることもしばしばある1。
乳がん術前療法におけるラパチニブ併用の有効性を検討した第Ⅲ相試験においては、30%を超える症例で計画通りの治療を行なうことができなかったと報告されており、その大部分は下痢をはじめとする副作用が原因であった2。不十分な副作用コントロールが治療の有効性を損なっているのは明らかである。
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