Feature Topic がん診療のコスト原論
医師は何をすべきか—見よ。考えよ。苦しめ。逃げるな。
國頭 英夫
1
1日本赤十字社医療センター化学療法科
pp.258-270
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200193
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
コストを無視してやってきた
ニューヨークのMemorial Sloan Kettering Cancer Center(以下、Sloan Kettering)のDr. Leonard B. Saltzはこう書いている。
「レジデント時代、指導医の一人が、ある患者に対して非常に多くの検査をしておけと私に指示した。私には、その検査で患者の治療が変わるとは思えなかった。そして指導医に、そういうのをやるのが正しいことか、cost effectiveであるのかと尋ねた。指導医は私に、“コストのことは我々の関知することではない。私は、cost effectiveであることでもって患者から報酬を受けたことなどない”と言い放った。私はその時、これは間違っているのではないかと思った。今、私は、これは間違っていると、知っている」1。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.