Feature Topic がん診療のコスト原論
Quality of Life—医療コストをどのように評価していけばよいのか?
齋藤 信也
1
1岡山大学大学院保健学研究科
pp.240-246
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200190
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二つの論点
がん診療のなかで、QOL(Quality of Life)とコストの問題を考えるときに二つの論点がある。一つは、「生存延長につながらないが、QOL向上に資するがん治療のコストをどのように考えるか」という問題である。
通常、新規抗がん剤が認可されるためには、既存薬よりも生存年が延長するという効果の改善が要求される。ということは生存期間(overall survival;OS)を伸ばさない抗がん剤は、そもそもコスト議論の対象となりにくい。具体的には、「果たしてQOLを改善する(だけの)抗がん剤のコストを公的医療制度が引き受けるべきか?」また、「もし引き受けるとしたら、OSの延長効果とQOL改善効果のバランスをどう取るべきか?」という議論の形をとると思われる。
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