連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 ブラックジャックの憂鬱
石田 昌宏
pp.1044
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100251
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「入院していたら病気になるから,できるだけ早く退院するんだよ」。本気か冗談か,こんな声を何度か聞いたことがある。このことを医師や看護師にいうと,「そうだよねぇ」なんて言葉が返ってくることも多々あるから,もう苦笑いするしかない。
在院日数の短縮を進めるというが,そもそも患者にとっては病気を治すために入院するのだから,入院した時点で「うちの病院では3か月以上入院できません」とか,「あとはご自宅で治していただきます」といわれても納得がいくわけがない。さらに最近は,治療成績がイマイチなのに「この病院ではあなたの選択を第1に考えています」と,見方を変えれば患者に成果を押し付けるともとられかねない言葉も増えてきた。患者のいうことを聞きもしないし,法外な治療費を請求する凄腕の外科医「ブラックジャック」がなぜ人気があるかといえば,要するに治してくれるからだ。
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