技術講座 血液
ズダンブラックB染色
小林 茂昭
1
,
荻野 敏行
1
,
中井 一吉
1
,
片山 善章
1
1国立循環器病センター臨床検査部
pp.867-875
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902514
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新しい知見
近年,種々の脂質代謝異常の研究にも大きな発展がみられた.その1つに粥状動脈硬化病巣への脂質の異常蓄積を特徴とする動脈硬化症の発症がしだいに解明されつつある.さらには,脂質代謝異常として高リポ蛋白血症,黄色腫症などの疾患も挙げられ,黄色腫細胞のように脂質とマクロファージの関連研究も進められている.また,細胞内小器官であるライソゾームの酵素の先天的欠損による先天性ライソゾーム病の研究の成果があり,これには,従来のスフィンゴ脂質(複合糖脂質)の分解障害による細胞内蓄積症スフィンゴリピドーシス(Niemann-Pick病,Gaucher病,Fabry病,Krabbe病,GM1-ガングリオシドーシスなどの代表的疾患が含まれている)として包括された疾患ばかりでなく,コレステロールエステル蓄積症,Wolman病などのリピドーシスにもライソゾーム酵素の先天的欠損が証明されている.しかしながら,各疾患の脂質蓄積の発現機構などにおいては,いまだ明確にされていない部分があり,今後の研究に期待されている.
このように脂質代謝異常は病理学的にもその重要性がますます再認識されてきており,脂質代謝異常の検索として,生化学的,遺伝学的解析法にとどまらず,組織(細胞)化学および免疫組織(細胞)化学的解析法を併せて検索していく必要がある.一般的に細胞や組織内脂質の証明法として脂質染色が行われている.
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