- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
CASE
患者:20歳、女性。
主訴:意識障害。
現病歴:生来健康。歩行中に自動車に後方から追突され、壁に挟まれる形で受傷した。救出までに30分程度を要し、当院へ救急搬送された。搬送時は意識清明、呼吸・循環動態は安定していた。救急室での精査の結果、右大腿骨骨幹部骨折(図1Ⓐ)、右脛骨骨幹部骨折と左脛腓骨開放骨折(図1Ⓑ)の診断で整形外科に入院となった。
入院当日(第1病日)に左脛腓骨開放骨折に対して、デブリードマンと創外固定術を施行された。第2病日に右大腿骨骨幹部および右脛骨骨幹部骨折に対して、骨接合術が施行された。術後の第3病日より意識障害(傾眠や不穏)と酸素化の低下が出現した。第4病日、意識障害が持続しているため原因検索目的に総合内科にコンサルトとなった(表1)。
既往歴:なし。
嗜好歴:飲酒なし、喫煙なし。
内服薬:なし。
生活歴:ADL自立、独居、専門学校生、アレルギーなし。
身体所見(コンサルト時):身長165cm、体重65kg、BMI 23.8kg/m2で標準体型。患者は呼びかけに対して反応がなく、意識レベルはGCS(Glasgow Coma Scale)9(E2V2M5)であった。頭部に腫脹や打撲痕なし。眼球結膜に黄染なし。眼瞼結膜に蒼白や点状出血なし。頸部に項部硬直なし。心音 整、雑音なし。呼吸音 清。腹部 平坦軟、腸蠕動 正常。四肢に関しては、右下肢は骨接合術後でギプス固定中。左下腿は創外固定術後で固定具刺入部に熱感なし。皮膚に点状出血や網状皮斑はなく、blue toeやblue fingerもなし。瞳孔は左右ともに4mm、対光反射は両側で迅速に認めた。上肢に粗大な運動麻痺はなく、下肢運動は術後の創外固定とギプス固定で確認できず。腱反射 亢進・減弱なし。Babinski反射 陰性。
バイタルサイン:血圧112/80mmHg、心拍数116回/分・整、呼吸数22回/分、体温37.7℃、SpO2 99%(経鼻カニューレ、酸素3.0L/分)。
検査所見(コンサルト時):
血算:WBC 12,570/μL(Neut 81.6%、Lym 10.3%、Mono 7.2%、Baso 0.2%、Eos 0.7%)、Hb 8.5g/dL、Ht 25.4%、Plt 13.8×104/μL。
生化学:TP 4.4g/dL、Alb 2.2g/dL、BUN 9mg/dL、Cr 0.33mg/dL、Na 143mEq/L、K 3.5mEq/L、Cl 111mEq/L、Ca 7.2mg/dL、AST 394U/L、ALT 79U/L、ALP 37U/L、LDH 774U/L、γ-GTP 15U/L、T-Bil 0.8mg/dL、CK 12,003U/L、CRP 7.74mg/dL、Glu 92mg/dL、NH3 63μg/dL(基準値12〜66μg/dL)、TSH 0.21mIU/mL(基準値0.61〜4.23 mIU/mL)、FT4 0.33ng/dL(基準値0.70〜1.70ng/dL)。
凝固:APTT 26.9秒、PT-INR 1.25、D-dimer 5.9μg/mL(基準値<0.1μg/mL)。
動脈血液ガス:pH 7.45、PO2 79.4mmHg、PCO2 29.4mmHg、HCO3- 24.6mmol/L、Lac 0.8mmol/L。
尿検査:比重1.032、pH 6.0、糖(-)、蛋白(1+)、潜血(1+)、ケトン体(4+)、WBC(-)、亜硝酸(-)。
頭部CT検査:頭蓋内出血や低吸収域なし。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.