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CASE
患者:87歳、女性
主訴:活気がない
現病歴:もともと日常生活動作は自立し、独歩も可能であった。X-3日からあまり喋らないようになった。X日からさらに活気がなくなり、発語も低下したため、家族に連れられ当院脳神経外科を受診。意識障害の原因精査のため血液検査、頭部MRI検査を施行し、明らかな異常所見を指摘されずに当科紹介となった。
既往歴:高血圧、Alzheimer病、骨粗鬆症、腰椎すべり症、右膝変形性股関節症、腰部脊柱管狭窄症術後。
嗜好歴:喫煙歴・飲酒歴なし。
内服薬:当院整形外科よりL-アスパラギン酸カルシウム、メコバラミン、芍薬甘草湯、プレガバリン、デュロキセチン、アセトアミノフェン、エプラジノン、ラベプラゾールNa錠、アンブロキソール、テルミサルタン、フロセミド。
アレルギー歴:薬剤・食物ともになし。
入院時身体所見:
外観:身長148.0cm、体重47.6kg、BMI 21.7kg/m2。
バイタルサイン:血圧118/76mmHg、脈拍数100回/分、体温36.9℃、SpO2 98%。
当科初診時の神経学的所見:意識清明とは言えない。やや発語が少なく名前は言えるが、生年月日や当日の日付は答えられない。瞳孔不同なし、対光反射両側減弱、眼球運動障害なし。輻輳不可、眼振なし。顔面非対称なし。舌偏位なし、舌の萎縮や線維束性収縮なし。上肢Barré徴候(-/-)、下肢Mingazzini徴候(-/+)(5cm下降)、深部腱反射では下顎反射(±)、上腕二頭筋腱反射(2+/+)、上腕三頭筋腱反射(2+/+)、腕橈骨筋腱反射(2+/+)、膝蓋腱反射(±/±)、アキレス腱反射(±/±)、Babinski徴候(-/-)、Chaddock徴候(±/±)、項部硬直(-)、Jolt accentuation(-)、Kernig徴候(-/-)。
来院時検査所見:
血液検査(X日):WBC 10,760/μL(Neut 77.9%、Lym 14.3%、Mono7.7%)、RBC 373×104/μL、Hb 11.7g/dL、Ht 34.2%、MCV 91.7fL、MCH 31.4pg、MCHC 34.2%、Plt 23×104μL、CPK 976U/L、AST 57U/L、ALT 24U/L、γ-GTP 20U/L、Alb 4.2g/dL、T-Bil 0.8mg/dL、BUN 27.0mg/dL、Cr 0.8mg/dL、Na 134.4mmol/L、K 3.3mmol/L、Cl 95.6mmol/L、Ca 9.2mg/dL、UA 5.5mg/dL、Glu 113mg/dL、CRP 0.70mg/dLであり、血液検査では電解質異常は軽度、低血糖や感染を示唆する所見を認めなかった。
頭部MRI検査:脳梗塞や脳出血は認めなかった。拡散強調像(図1矢印)、FLAIR(fluid-attenuated inversion recovery)画像(図2矢印)で左側頭葉内側の高信号が疑われた。両側海馬の萎縮あり。
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