特集 —え、ウソ!実は◯◯だった!?—“コモンディジーズ”の診断ピットフォール
⑳「流行性筋痛症」かと思ったら…!?
西澤 俊紀
1
1聖路加国際病院 一般内科
pp.292-293
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204714
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Case
患者:60歳、男性
主訴:発熱、全身の痛み
既往歴:高血圧症、脂質異常症
内服:バルサルタン80mg/日、アムロジピン5mg/日、ロスバスタチン2.5mg/日
嗜好歴:喫煙なし、機会飲酒
現病歴:5日前、誘引なく「突然、肺に何かが詰まった」ようなエピソードを自覚した。その後、37℃台後半の微熱、四肢の筋肉痛、腰痛、悪心・嘔吐を自覚し、4日前に前医を受診し、血液検査ではWBC 11,000/μL、CRP 1.0mg/dLであった。誤嚥のようなエピソードを話されたので胸部X線写真を撮影したが、明らかな浸潤影を認めなかった。周囲の流行状況や、発熱と筋肉痛から「流行性筋痛症」と診断され、解熱鎮痛薬の対症療法を指示された。しかし、その後も発熱や全身の痛みが改善せず、原因精査目的で当院を独歩で受診した。
身体所見:当院受診時に、受付の自動血圧計では血圧測定がエラーとなり、看護師が血圧測定すると110/60mmHgであった(普段は上記の降圧薬を内服して120/70mmHg)。その他のバイタルサインは、意識清明、体温35.9℃、脈拍数98回/分、呼吸数16回/分、SpO2 100%(室内気)で、全身状態の印象も良好。心音を聴診すると、拡張期早期の心雑音を認めた。手掌や足掌、耳介、眼球結膜、爪に点状出血やOsler結節、Janeway斑を認めない。口腔内環境良好、う歯を認めない。全身の痛みに関しては、特に右肩と左大腿が痛いという訴えであったが、関節に腫脹・圧痛・発赤・熱感および可動域制限を認めなかった。四肢の筋肉に把握痛・圧痛を認めない。肋骨脊柱角(CVA)の叩打痛・腸腰筋徴候は陰性。
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