Editorial
「発達障害」への理解が、診療を変える
片岡 仁美
1
,
藤井 智香子
2
1京都大学 医学教育・国際化推進センター
2岡山大学病院 小児科・小児心身医療科 ダイバーシティ推進センター
pp.1033
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204436
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近年、「子どもの時、発達障害と言われました」「夫(妻)が発達障害だと思うんですが…」といった訴えを聞くことが増えてきました。一方で、自分が学生の時に習ったこととは考え方も相当に変わっていることも認識しており、漠然とした苦手感をもっていたかもしれません。しかし、自身も子育てをするなかで「発達」に向き合い、発達障害への理解が進んできました。そうすると、前述の患者さんの悩みへの対処の仕方が明確になるとともに、ふだん接している患者さんの見え方も変わってきたのです。「説明したことが伝わらない」「心配性の度が過ぎる」など、ともすれば“困った患者さん”とも認識されうる方の一部に発達特性があって、このような状況が起こっているのではないか、という可能性を認識するようになり、その点に留意して診察すると格段にコミュニケーションがとりやすくなった経験もあります(総論〔p.1036〕では、その点を明確に論じていただいています)。
自身の見方が変わるだけで患者さんへの理解がこんなにも変わるのかという経験をし、発達障害(神経発達症)についてプライマリ・ケアの現場を担う先生方と共有させていただきたく、本特集を企画しました。ご執筆の先生方には、その意図を汲んで素晴らしいお原稿をいただきましたこと、心より感謝いたします。発達障害の子どもとその母を支えることに生涯をかけて取り組んでこられた河島淳子先生の真摯な実践をお伝えしたいと願い、実現した巻頭インタビュー(p.1015)と併せて、是非お読みいただけましたら幸甚です。
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