ゲストライブ〜Improvisation〜・23
療育は原石の中に“宝石”を見出す冒険—発達障害の子と母親を育てる「治療教育」
河島 淳子
1
,
片岡 仁美
2
KAWASHIMA JYUNKO
1
,
KATAOKA HITOMI
2
1京都大学 医学教育・国際化推進センター
2トモニ療育センター
pp.1015-1025
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204431
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「指示には従わない!」と言わんばかりにかんしゃくを起こし、机上の教材を叩き落として大泣きしていた重度の発達障害をもつ子が、河島氏の指導を受けると次第に落ち着き、腰を据えて課題に向き合うようになった。そして、「わかった!」という喜びの笑顔を見せた。トモニ療育センター(愛媛県新居浜市)にて、記録映像を一見して驚いた。激しい啼泣を聞くと、反射的に「嫌がる子に無理して勉強させなくても…」という思いも浮かんだが、短見だった。いったい、ここで何が起こっているのか?
河島氏は小児科医だった。しかし、わが子が知的障害を伴う自閉症だったことから、子育てに専念。その後、療育センターを開設して30年、全国から800人余の発達障害をもつ子と母親らが切なる想いで訪れている。氏は、「言葉」や「数」を教えることを重視してきた。また、「家庭療育」でも質の高い教育と育児を行うことを重んじ、「母親」を支援してきた。自身が自閉症児を育てた経験に基づく信念からである。医師で2児の母でもある片岡氏が、親子の“生きる力”と心を育てる河島氏の「療育」の真髄を聞いた。(編集室)
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