Editorial
広すぎる「安全ネット」を安全に狭めるための“消去法”
青木 洋介
1
1佐賀大学医学部附属病院 感染制御部
pp.759
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204347
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1981年、208名の判事を被験者として16件の仮想犯罪事例それぞれに量刑を下す研究が、米国で行われました1)。すると、たとえば、全判事の平均刑期「8.5年」の事例の最長刑期は「終身刑」、あるいは同「1.1年」の最長刑期は「15年」と、かなりのバラつき—ノイズ—があることが判明し、特定の犯罪に固有の量刑の範囲が定められることになりました。このようなことを背景に生まれたのが「ガイドライン」です。
「診療ガイドライン」も、医師間の診療方針のバラつきをなくし、医療の焦点をゆるやかに絞ることを目的とした診療支援ツールです。しかし、“唯一の真実”というわけではありません。一定方向に偏移すると、ノイズが低減される代わりに「バイアス(≒偏重)」が生じます。
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