講座
関連痛消去による減痛分娩
鈴木 武德
1
1新宿日赤産院
pp.22-27
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201189
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はしがき
産痛,これは産婦にとつては太古の昔から大きな問題であつたにちがいない.それにもかかわらずこの問題には,余り科学的関心が払われなかつたことはどうしたわけでしよう.
分娩には,ある程度の苦痛や疼痛の伴なうことは当然なことであり,婦人の持つて生まれた宿命であり,人間も含めて生物の種族維持の通則として個体の支払う当然な「ぎせい」である,などと考えてとり上げなかつたためではなかろうか.敗戦後主として米国から紹介された分娩介助法,とりわけ薬物的無痛分娩法は,我邦の従来の分娩介助のあり方に就て大きな影響を与えた.その採用,不採用のことは別としても産痛に対する私達の認識が改められたことは確である.その後いわゆる精神予防性無痛分娩法が紹介されるに及んで,産痛問題を中心として,薬物法との比較検討がはなやかに展開された.ともあれこの問題は決して一時的な論争に終らせることなく,産痛に関する研究,無痛法の創案は私達産科医や助産婦に課せられた重要な課題の一つとして考えて行きたいものである.
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