特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き!
【しびれ診療のQに答えます!】
column Guillain-Barré症候群とCOVID-19やワクチン接種
西田 陽一郎
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1東京医科歯科大学 脳神経病態学分野〈脳神経内科〉
pp.177
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204157
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2019年12月に中国武漢で見つかった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、さまざまな神経疾患や自己免疫疾患と関連することが知られており、Guillain-Barré症候群もその中の1つである。
新型コロナウイルスに伴うGuillain-Barré症候群発症には、❶ウイルスの神経への直接浸潤による障害、❷IL-6やTNF-αなどサイトカイン上昇を伴う炎症による障害、❸抗ガングリオシド抗体などの抗体介在性の障害、の3つの機序が想定されている1)。これまで報告されたCOVID-19に伴うGuillain-Barré症候群の脳脊髄液では、SARS-CoV-2ウイルスPCR陽性例はなく、ウイルスの髄腔内での増殖は示唆されないため❶は否定的であり、❸についてはSARS-CoV-2とヒトの間でゲノムの類似性が乏しく、抗ガングリオシド抗体はGuillain-Barré症候群で10%、Fisher症候群でも20%しか陽性でなかった。COVID-19発症から神経症状の発現までの中央値が11日と短いことや、神経症状発現時に血清の炎症反応が73%の患者で陽性だったため、❸よりも❷による発症機序がより想定されており、細胞性免疫が重要と思われている1)。
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