【臨床小説—第二部】後悔しない医者|今と未来をつなぐもの・第32話
許しを得た医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1520-1526
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204095
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
患者は16歳・男性。この春、長崎市の進学校に入学したが、4月下旬から体がだるくて朝起きられず、頭痛もあって「不登校」になってしまった。親戚の「おばあちゃん」が大家をしている市内の下宿屋から、療養のため7月に帰島して以来、左座の外来を定期受診している。検査に異常は認められず、一時診療は行き詰まったが、少量のルラシドンと苓桂朮甘湯を処方すると徐々に回復。しかし頭痛が残り、2学期になっても登校できずにいた。すると向後から、「体を動かすのに慣れるため、外来の掃除をしにきてもらおう」と異例の提案があり、ある日、患者と向後が外来で偶然顔を合わせることになって…。
前回、向後は「思春期診療」ならではのクリニカルな技法を、2つ提示した。1つは、次回予約の受診時刻をあえて定めないこと。もう1つは、思春期の子どもの性質を「循環気質」とみたて、躁うつ病への治療を希釈して対症療法的に試みることであった。そして今回、患者は思わぬ形で回復する。彼らは、いかにして癒されるのか?
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