特集 日常診療に潜む「処方カスケード」—その症状、薬のせいではないですか?
【各論】
❻不整脈—命にかかわる薬とは?
大石 悠太
1
1大石内科循環器科医院
キーワード:
不整脈
,
QT延長症候群
,
ループ利尿薬
,
Ⅰ群抗不整脈薬
,
ドネペジル
,
処方カスケード
Keyword:
不整脈
,
QT延長症候群
,
ループ利尿薬
,
Ⅰ群抗不整脈薬
,
ドネペジル
,
処方カスケード
pp.1209-1212
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203967
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突然死を引き起こす可能性のあるものの1つに「QT延長症候群」がある。QT延長症候群とは、心電図にQT延長を認め、torsade de pointes(TdP)と呼ばれる特徴的な心室頻拍(ventricular tachycardia : VT)や、心室細動(ventricular fibrillation : VF)等の致死的不整脈を生じて、突然死を引き起こす。発症原因によって先天性と2次性(薬剤、電解質異常など)に分類されるが、本稿では主に2次性(特に薬剤性)について言及する。
2次性QT延長症候群の最大のポイントは後述するが、原因となる薬剤が非常に多岐にわたるという点である。抗不整脈薬、抗うつ薬、抗がん薬などのように専門医が主に処方する薬剤から、抗菌薬、抗アレルギー薬、制吐薬など、多くの医師が処方するものまで実に幅広い1)。抗不整脈薬服用によるTdPの発生率は2.0〜8.8%とされ、抗不整脈薬以外の非循環器系薬物である向精神薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗アレルギー薬、消化器用薬などによるQT延長の発生率は、年間1人/1万人〜1人/10万人と見積もられている2)。薬剤によるQT延長症候群、TdPは、要因となっている薬剤の減量や変更により回避できる可能性が高く、QT間隔を延長させる薬剤を把握しておくことは非常に重要である。
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