【臨床小説—第二部】後悔しない医者|今と未来をつなぐもの・第28話
聴こえてしまった医者
國松 淳和
1
1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1036-1041
発行日 2022年8月15日
Published Date 2022/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203877
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
西畑は、頭ケ島白浜病院での後期研修をそつなくこなしていた。ある日、念願だった向後の外来に陪席し、なんとなく気になる患者に出くわした。その患者は75歳・女性、新型コロナワクチン接種後に下痢が始まり、副反応の熱が下がったあともなかなか治らないと何度も受診していた。血液検査はすべて陰性、CRPも正常。1週間前に人参湯から半夏瀉心湯に処方を変更し様子をみていたが、体温37.2℃と微熱が出始めたため臨時受診した。患者は「なんだか体がおかしい」と訴えてはいるが元気そうに見え、下部消化管内視鏡検査を予定どおり受けることを促すと、納得して帰っていった。しかし西畑は違和感を覚えていた。なんとなく変…。
器質的な異常を認めないのに、非特異的な症状が続くことはままある。機能性の病態、あるいは時に心因性と高を括って、原因追究を棚上げすることもあるだろう。しかし不調をきたしている以上、ロジックは必ずあるはずだ。それを読み解けば、解決の糸口がつかめるかもしれない。果たして、今回の患者の不調の原因は何なのか?
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