特集 診断に役立つ! 教育で使える! フィジカル・エポニム!—身体所見に名を残すレジェンドたちの技と思考
—Kehr徴候—由来が謎だった身体所見——先人の知恵の伝承を追った軌跡—philology(文献学)が問題を解決する
清田 雅智
1
1飯塚病院 総合診療科
キーワード:
脾破裂の身体所見とされてきたKehr徴候
,
Hamilton Bailey
,
Zachary Copeのphrenic shoulder pain
,
肩放散痛
,
横隔膜刺激病変
Keyword:
脾破裂の身体所見とされてきたKehr徴候
,
Hamilton Bailey
,
Zachary Copeのphrenic shoulder pain
,
肩放散痛
,
横隔膜刺激病変
pp.1358-1364
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202870
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
Kehr徴候は、「脾破裂」の際に左横隔膜部を刺激する結果、左肩に放散痛(あるいは知覚過敏)が起こるというメディカル・エポニムである。ドイツの胆道外科医Hans Kehr(1862〜1916)に由来するが、日本ではほぼ知られていない臨床徴候であろう。その起源を探った独語文献1)を英訳して読むと、実はKehr自身は脾破裂の症例報告をしておらず、彼がメディカル・エポニムになっているのは“mystery of medical history”とされている1)。しかし今回、Kehr徴候の起源と思われる文献を発見したため、この場を借りて併せて報告したい。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.