特集 —ポリファーマシーを回避する—エビデンスに基づく非薬物療法のススメ
【column】
コロナ太り/喀痰に対する非薬物療法・指導/コンタクトスポーツと認知症リスク
酒見 英太
1
,
倉原 優
2
1洛和会音羽病院
2近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科
pp.1179-1179,1194,1213
発行日 2020年10月15日
Published Date 2020/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202817
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外出制限による運動不足から「コロナ太り」という新しい病態が出現したが、これはある意味で医療界にも責任のある、予防法の伝え方の誤りであった可能性が高い。コロナウイルスの伝搬様式は飛沫・接触感染であり、まさに「3密の回避」と手洗い——結膜に付着したウイルスは涙管を経て鼻腔・咽頭に達するはずなので、私はこれに鼻かみ・うがいを加えるべきと考えている——こそが予防に大切であったはずなのに、不用意に「外出を控えましょう」(英語ではstay home)と唱えてしまったがために、外出そのもの、すなわち「外に出て日光を浴びつつ(自然に触れつつ)流れている外気のなかを歩く」という、本来肉体と精神の健康を保つために不可欠な活動さえ制限してしまったきらいがあるからである。現代では一昔前とは比較にならないほどITやゲーム機が発達し、成長発達過程にあって好奇心旺盛なはずの子どもさえも退屈せずにstay homeができてしまう環境も輪をかけたであろう。
そもそも運動不足と睡眠不足が「風邪の引きやすさ」に影響するとの調査結果もあり1)、新型コロナウイルスの感染の実態がようやく掴めてきた現在、家に籠るのではなく、混雑のない自然環境、公園、近所への外出や散歩は、COVID-19対策としてもむしろ積極的に推奨されるべきではないかと考える。
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