特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック
【Ⅰ章】
ME/CFSを極める!—“病像”をつかむ
コラム❷脳脊髄液減少症—ME/CFSとの鑑別
篠永 正道
1
1国際医療福祉大学熱海病院 脳神経外科
キーワード:
脳脊髄液減少症
,
脳脊髄液漏出症
,
低髄液圧症
,
不定愁訴
Keyword:
脳脊髄液減少症
,
脳脊髄液漏出症
,
低髄液圧症
,
不定愁訴
pp.814-817
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202687
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
慢性疲労を主訴にした脳脊髄液減少症
患者:32歳、女性
主訴:頸部痛、易疲労・全身倦怠、気力低下、記憶力・思考力低下、頭痛
既往歴:3年前に子宮頸部異形成除去術
現病歴:2年前、男性に頭を強く殴られた。しばらくして回転性めまいが出現した。その後、起立時に悪化する頭痛、頸部痛、吐き気、視力低下、疲れやすい、全身倦怠感、記憶力低下、相手の言っていることが理解できない、思ったことがすぐ言葉に出てこないなどの症状が持続し、2年間多くの病院・クリニックを受診したが原因がわからず、「ME/CFS」と診断されたこともあった。点滴により症状が一時的に改善することがあった。
他院で「脳脊髄液減少症」が疑われ、当院を紹介受診。造影脳MRIで側脳室狭小化・視神経周囲髄液減少・軽度静脈拡張・軽度硬膜造影所見がみられ、脳脊髄液減少所見と判断した。造影脊髄MRIでは、胸椎部で硬膜外髄液貯留所見がみられた。RI(放射線同位元素)脳槽シンチグラフィーを施行し、髄液圧11cm水柱、腰椎部で髄液漏出像あり。CTミエログラフィーでは頸椎・腰椎に髄液漏出所見がみられ、2カ所にブラッドパッチを行なった。症状は改善傾向だったが、倦怠感・背部痛が持続し、1年後に2回目のブラッドパッチを行い、その後、日常生活に不自由しない程度に症状が改善した。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.