特集 困っている“あなた”に届く 認知症診療
【認知症診療case by case】
軽度認知障害(MCI)
岩田 淳
1
1東京大学医学部附属病院脳神経内科
キーワード:
軽度認知障害
,
MCI
,
Alzheimer病
,
primary age related tauopathy
,
PART
,
limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy
,
LATE
Keyword:
軽度認知障害
,
MCI
,
Alzheimer病
,
primary age related tauopathy
,
PART
,
limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy
,
LATE
pp.1490-1493
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202405
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Case
患者:82歳、女性。
主訴:物忘れ。「認知症になったら困るから、治療して欲しい」。
現病歴:2年ほど前から家族に「さっき聞いたことをまた聞く」、「物を置いた場所がどこだったかということを忘れてしまう」ことに気づかれた。それらの頻度は1年程前から増加、心配した家族に連れられて来院。本人にも病識はあり、「もう認知症になってしまった」などと言う。
既往歴:ここ20年程の高血圧治療歴。
家族歴:父親が80代で亡くなる前には「ボケ」ていた。
診察所見:一般内科所見に異常なし。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは22(場所の見当識 -1、3語再生 -6、5物品 -1)、MMSE(Mini-Mental State Examination)25(場所の見当識 -2、三語再生 -3)。一般神経学的所見には異常なし。geriatric depression scale は1点と、うつは認めず。
家族からの情報聴取では、買い物、掃除、炊事といった主婦としての機能は以前と比べて変わらず維持されており、夫の経営している会社の経理として、給与計算も問題なくできているとのこと。また、町内会の活動や選挙の投票もできており、近所の医院から処方されている降圧薬の内服もたまに忘れることがあるが、その頻度は20年前からあまり変わっていないとのことであった。
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