Japanese
English
シンポジウム MCIとLNTDをめぐって
MCIとLNTD―精神科の立場から
MCI and LNTD
池田 研二
1
Kenji IKEDA
1
1(財)慈圭病院・慈圭精神医学研究所
1Zikei Hospital/Zikei Institute of Psychiatry
キーワード:
MCI
,
LNTD
,
Dementia
,
NFT
,
Alzheimer-type dementia
Keyword:
MCI
,
LNTD
,
Dementia
,
NFT
,
Alzheimer-type dementia
pp.561-566
発行日 2006年5月15日
Published Date 2006/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100276
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はじめに
MCIの状態から認知症への移行についての臨床研究では,報告によって幅があるが,1年で7~20%であるとされている。単純に計算すると,MCIが5年後に認知症に発展する割合30~60%程度ということになる。すなわち,かなりの割合でMCIから徐々に複数の認知機能障害を呈するに至り,ATDがその中心疾患であると考えられている。いずれにせよ,認知症に進展する群には,アルツハイマー型認知症(ATD)なり,脳血管性認知症(VaD)なり,病理学的基盤がその背後に想定されている。しかしながら,認知症に進展しない症例も多い。以下に2~3の文献を引用して紹介するように,MCIから認知症に移行しない群のみならず,正常化する場合も多い。さらに,MCIの状態に長くとどまったり,長く病的な記憶障害(amnestic MCI)が続いた後に認知症に進展する症例も少なからず存在する。このような症例群については,それがどのような病理学的な基盤に基づくものであるかは興味が持たれるところであるが,これまでに具体的に言及されていないし,まとまった病理報告もない。この報告はそのようなMCIが長く続く病態の少なくとも一部は,tangle-only dementia10),神経原線維変化型老年期認知症(SD-NFT)11)あるいは辺縁神経原線維変化型認知症(LNTD)と呼ばれる,比較的,最近になって知られるようになった高齢者の認知症性疾患が相当するのではないか,ということを紹介するものである。
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