特集 困っている“あなた”に届く 認知症診療
【認知症診療case by case】
Alzheimer病
福井 俊哉
1
1かわさき記念病院
キーワード:
Alzheimer病
,
Alzheimer型認知症
,
Alzheimer病理
,
典型型
,
健忘型
,
非典型型
,
非健忘型
Keyword:
Alzheimer病
,
Alzheimer型認知症
,
Alzheimer病理
,
典型型
,
健忘型
,
非典型型
,
非健忘型
pp.1469-1473
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202396
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Case
進行性のもの忘れを主徴とした1例
患者:初診時68歳、男性、右利き。
既往歴:高血圧、心房細動、糖尿病、高尿酸血症。
現病歴:初診2年前(66歳時)に、人の名前が出てきにくいことに気がつき、その傾向はその後緩徐に悪化した。初診1年前から所持品を片付けた場所を忘れ、また、大事な約束・予定や、孫の誕生日などを思い出せないこと、また車の操作ミスが増えた。初診2カ月前には、通い慣れていたスーパーマーケットへの行き方がわからなくなった。
初診時所見:礼節は保たれ、診察には協力的であるが、本人には病感があるうえに、妻が過干渉・叱責的であるため、ややイライラしている。Montreal Cognitive Assessmentは20/30点(遅延再生0/5)、記憶障害・視空間認知障害を認める。手首固化徴候を含めて身体症状はなく、血液検査上も異常を認めない。脳CT上軽度の海馬萎縮を認め、脳外科的疾患も否定的なため、Alzheimer型認知症と診断。ドネペジルで治療開始後、改訂版長谷川式簡易知能評価スケール上29/30点得点可能となり、糖尿病に対する運動・食事療法も自己管理できている。
一方、患者本人の能力を過小評価しがちである妻との夫婦げんかが絶えない。本人の能力を尊重するように妻へ指導を行った。
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