特集 “消去法”で考え直す「抗菌薬選択」のセオリー—広域に考え、狭域に始める
【抗菌薬選択クイズⅡ】緊急を要する感染症の初期抗菌薬選択
❶「中枢神経感染症」を疑う患者
加藤 英明
1,2
1横浜市立大学附属病院 感染制御部
2横山市立大学医学部 血液・免疫・感染症内科
キーワード:
髄膜炎
,
ウイルス性髄膜脳炎
,
結核性髄膜炎
,
脳膿瘍
,
髄液移行性
Keyword:
髄膜炎
,
ウイルス性髄膜脳炎
,
結核性髄膜炎
,
脳膿瘍
,
髄液移行性
pp.812-815
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204362
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
中枢神経感染症は、「髄膜炎」「脳炎」「脳膿瘍」などを総称したものである。深部臓器であるため、症状には発熱・頭痛・精神変容・異常行動など幅がある。髄膜刺激症状としてKernig徴候やBrudzinski徴候がよく知られるが、これらがみられるのは細菌性髄膜炎の10%程度と低く、髄膜に炎症が及ばない脳炎や脳膿瘍では、必ずしも髄膜刺激症状がみられるとは限らない。
しかしながら、いずれも迅速な診断と治療を要する病態であり、画像・髄液検査などの診断を進めるのと並行して、典型的な病原微生物を想定した初期治療の開始が必要である。また、髄液は抗菌薬が移行しにくい臓器の1つであり、「髄液移行性」を考慮した抗菌薬選択と投与量の調整が必要である。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.