特集 “ナゾ”の痛み診療ストラテジー|OPQRSTで読み解く
【スペシャル・アーティクル】
慢性疼痛の集学的治療の実際・課題・今後の展望
尾張 慶子
1
,
西原 真理
1
1愛知医科大学痛みセンター
pp.455-459
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202014
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はじめに
1994年国際疼痛学会が「痛み」について、「組織の実質的あるいは、潜在的な障害に結びつくか、このような障害をあらわす言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験である」と定義した。痛みとは「不快な感覚、情動体験」であり、決して「不快な感覚」のみの定義ではない。「情動体験」の「情動」を言い換えると、「広く動物に共通した、喜び、悲しみ、怒り、恐れ、嫌悪の様な本能的な欲求に関わる感情と、慈しみや憎しみ、尊敬や軽蔑など人間に独特な感情、その感情によって生じる身体や、表情の変化、行動の変化を含む」とある1)。つまり「痛み」とは、「不快な感覚」と「感情変化とそれに伴う心身的変化の体験」なのである。
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