GM Group Dynamics・5
神奈川EBM実践研究会
pp.1599
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201801
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EBM研究会ではなく、EBM実践研究会である。すでに第90回を数える。2003年に、安田隆先生(吉祥寺あさひ病院)・大生定義先生(新生病院)・名郷直樹先生(武蔵野国分寺公園クリニック)・須藤博先生(大船中央病院)を幹事にスタートした。「EBM(evidence-based medicine)」という言葉が日本でも聞かれるようになったのが1990年代の半ば、立ち上げ当時にはすでに臨床現場でも“新常識”となっていた。しかし、「実践」となると話は別だ。EBMは、単にRCT(ランダム化比較試験)等の信頼性の高そうな文献を探し出し、その示唆するところをそのまま診療に当てはめることではない。
EBMには、“プロセス”がある。本年6月13日、第86回の同研究会「EBM治療編—製薬会社の説明会のききかた」において、講師の南郷栄秀先生(東京北医療センター)は、❶疑問の定式化、❷疑問についての情報収集、❸得られた情報の批判的吟味、❹情報の患者への適用、❺1〜4の評価という、EBM実践の5つのステップを提示した。なかでも❹が肝である。臨床決断は、「エビデンス」のみならず、「患者の病状と周囲を取り巻く環境」「患者の意向と行動」、そして「医療者の臨床経験」という4つの要素を鑑みて検討するものだ。EBMが“常識”になった今こそ、改めてその臨床実践を問うべき時が来ている。
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