総合診療医直伝! 糖尿病患者の救急外来診療ABC・5
糖尿病の70代男性がめまいで受診
徳田 安春
1
1地域医療機能推進機構(JCHO)本部
pp.380-381
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200420
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
症例
数年前より糖尿病で通院中の70代男性.日常生活動作は独立.夫人と2人暮らし.普段の内服は,シタグリプチン50 mgを1日1回とボグリボース1回0.3mgを1日3回毎食直前.ベースラインのHbA1cは7.9%であった.高血圧はなし.
前日昼まで普段と変わらず元気.前夜より回転性のめまいと気分不良あり,自宅で安静にして様子をみていたが症状が軽快しないので,夕方になり夫人とともに受診.本日の糖尿病薬は内服せず.めまいは回転性で持続性.口渇感あり.頭痛や難聴なし.嘔気あるも嘔吐なし.
バイタルサインは,血圧180/90mmHg,脈拍100/分・整,呼吸数19/分(深さ正常),体温36.0℃.SpO2は97%(室内空気).意識は清明.トリアージナースによる簡易血糖チェックは「Hi」との結果.
全身外観は病的.呼気臭も異常なし.口腔粘膜は乾燥.頸部は異常なし.心音は整で雑音なし.呼吸音は清で左右差なし.腹部,四肢,背部に明らかな異常を認めない.
神経学的診察では,瞳孔不同なく,対応反射は両側迅速で,眼振は自発眼振も誘発眼振もなし.眼球運動障害や構音障害,筋力低下,感覚障害なし,四肢の反射はすべて1+で,Babinski反射は両側陰性.指鼻試験と膝踵試験は正常.
座位と立位ではめまいとフラフラ感が強くて立位がとれず,Romberg検査と歩行検査も不能.体重も測定できず.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.