特集 糖尿病のリアル—現場の「困った!」にとことん答えます。
複雑困難事例の「こんな時どうする!?」
CASE1 「太く短く生きられればいいんです。治療の必要はありません!」—病識がなく治療に非協力的な患者さん
岡崎 研太郎
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 地域医療教育学寄附講座
キーワード:
エンパワーメント
,
問いを立てる
,
糖尿病劇場
Keyword:
エンパワーメント
,
問いを立てる
,
糖尿病劇場
pp.350-354
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201398
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Case
服薬や通院が不規則な働き盛りの糖尿病患者
患者:46歳、男性。2型糖尿病。妻と4人の子どもがおり、マンションを購入したばかり。
現病歴:3年前に会社の健康診断で高血糖を指摘され、当院を受診。空腹時血糖141mg/dL、HbA1c 7.1%で、糖尿病と診断。栄養士から食事指導を受け、メトホルミン250mg 3錠分3毎食後(ビグアナイド薬)が開始された。
当初は血糖コントロールが改善していたが、数カ月後から徐々に悪化した。昼は仕事で忙しく、夜は接待が多いため薬の飲み忘れが多いとのことで、シタグリプチン50mg 1錠分1朝食後(DPP-4阻害薬)に変更した。しかしHbA1cは改善せず、カナグリフロジン100mg 1錠(SGLT-2阻害薬)を追加した。
その後、診察予約日に来院せず予約を変更することが増え、2〜3カ月受診間隔が開くこともあった。週に1回の注射薬デュラグルチド(トルリシティ®皮下注0.75mgアテオス®。GLP-1受容体作動薬、p.333・358・364)を導入した際には、久しぶりにHbA1c 7.5%まで改善したが、「痛いし、面倒なので」と中止し、以降は8〜10%で推移している。
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