診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・9
—心エコー—心タンポナーデを疑った時
亀田 徹
1
1安曇野赤十字病院救急科
pp.1720-1725
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201280
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はじめに
病歴・身体所見とFoCUSで心タンポナーデを診断します!
心タンポナーデとは、血液、液体、膿、気体が心膜内に貯留して心膜内圧が上昇し、心腔が圧迫されて生じる循環障害のことを言います。初期には、胸部不快感、胸痛、呼吸困難、脱力などの症状を呈しますが1)、ショック状態であれば直ちにドレナージや手術が必要になるのは言うまでもありません。
心膜は強靭ですぐに進展できないので、急速に心膜内に少量の出血が貯留するだけで心タンポナーデに陥ります。一方、時間をかけて心膜液が貯留すれば、心膜はゆっくりと進展されるので、ある程度の貯留まで心タンポナーデにはなりません。図1は心膜液が急速に貯留する場合と、ゆっくり貯留する場合の心膜液量と心膜内圧の関係を示し、心膜液が一定量から少し増加するだけで、心膜内圧が急激に上昇することがわかります。つまり、心タンポナーデに陥った場合、少量のドレナージにより循環動態が急速に改善する可能性も示しています1)。
心膜気腫を除き、心タンポナーデの診断は、病歴・身体所見と超音波所見を組み合わせて行います。心膜液貯留に右室拡張期虚脱や下大静脈径拡大・呼吸性変動低下を伴えば、心タンポナーデと判断できます2, 3)。循環器内科医以外の臨床医であっても、病歴と身体所見に基づきFoCUSを行えば、迅速に心タンポナーデを診断することが可能です4)。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年11月30日まで)。
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